こんにちは、むんまるです
本記事では、『アフレコ収録の流れ』について説明します。
アフレコ風景を写真で見たことがある方は多いと思いますが、実際にどのような流れで収録が行われているのかを知っている方は少ないと思います。
それもそのはず、セキュリティの問題などもあり、関係者以外の人がアフレコ収録を初めから終わりまで見学できる機会なんてほぼありません。
新人声優でさえも、仕事をもらう前に見学に行く機会があればいい方で、何も知らないままいきなり初現場へ、なんてことはザラです。
この記事では、よりアフレコの知識を深めていただけるよう、 収録そのものだけでなくスタジオ入りからの一連についてを声優目線で書きましたので、参考にしていただければ幸いです。
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アフレコとは?
声優の仕事の要である『アフレコ』。
『既に出来上がっている映像や絵に対してあとから声をアテる』ということで、【アフター・レコーディング=アフレコ】と言います。
アニメや吹替えのアフレコは、作品に出演する声優が全員集まって一緒に収録を行うことがほとんどです。
多忙な声優は別での収録になることも
人気声優の場合、多忙で収録スケジュールが他の共演者と合わず、一人だけの別日や別の時間で『抜き録り』となることもあります。
同じ時間での収録予定だったとしても、『〇時入り』『〇時出し』というように、指定の声優のみ入り時間が遅く設定されていたり、早めに切り上げるように設定されている場合もあります。
アフレコ収録の流れ
声優目線でのアフレコ収録全体の流れは以下のようになっています。
スタジオに到着することを『スタジオ入(い)り』といいます。
出演者・スタッフが全員揃い、時間になると収録が始まります。
ディレクターによる声優の演技チェック・ミキサーの音声チェックのための『テスト収録』をします。
制作サイドによるテスト収録音声のチェックが行われます。
ディレクターから、テストで行った演技のダメ出しや方向性、別録りの指示等が伝えられます。
指示されたディレクションを踏まえた上で、本番の収録に臨みます。
収録時間の長さによっては、途中で小休憩やお昼休憩を挟むことがあります。
テスト収録〜本番までを繰り返しで、進めていきます。
全員で『ガヤ』と呼ばれる『作品に登場するシーン毎に聞こえる周囲の音』を収録します。
無事に収録が終了したら、ミキサー室へ挨拶をしに行きます。
各項目について、詳しく見ていきましょう。
スタジオ入り
指定された入り時間にスタジオに入ることを『スタジオ入り』と言います。
スタジオ入りの目安は何分前?
大体、入り時間の20~30分前くらいに入るのが良いでしょう。
スタジオのロビーもしくは収録ブース内で準備をしながら収録開始を待ちます。
スタジオ入りしたらやること
スタジオに入ったらまず、以下のことをします。
- マネージャーへの到着連絡
- 収録の準備(台本、筆記用具、飲み物、イヤホンなど)
- 共演者への挨拶
- ミキサー室(スタッフ)への挨拶
上記は必ずやるべきことですが、そのほか、時間が余っていたら声優たちは各々、以下のことをしています。
- 台詞の練習
- 共演者とマイクワークや演技についての相談
- お手洗いに行く
- 共演者と雑談をする
- 収録に向けての準備(『飲み物を飲む』『リップクリームを塗る』『お腹が鳴らないよう何かを口にする』など)
収録中は基本的にブースの外へ出られないため、
収録開始前にお手洗いに行っておくことは重要なポイントです。
スタジオ入り後の行動については、こちらをお読みください
開始の挨拶
スタッフや出演者が全員揃い、時間になったら、収録が始まります。
ディレクターによる挨拶
収録を始める前に、ディレクターによる挨拶があります。
長寿番組やシリーズ作品の場合は、スタッフも出演者も慣れているので、ふらっと始まることが多いです(笑)。
逆に、一本ものの映画や、第1話の作品などは、挨拶に追加して作品説明の場が設けられることが多いように感じます。
とある作品の第1話収録時は、原作者や総監督、プロデューサーら関係者が収録ブース内に立ち並び、スタッフ・出演者全員による顔合わせ/挨拶があったりと・・・圧巻でした。
ブースで
ディレクターによっては、収録ブースに入って挨拶をしてくださいます。
その際、作品の説明や台詞の変更、予め決められている別録りの指示等を伝えられる場合もあります。
挨拶の最後に「何か質問ある人~?」と聞いてくださるディレクターもいるので、もし台本や台詞に関する質問があれば、その際に聞いておくと良いでしょう。
収録前にこのような説明の時間が設けられず、いきなり収録開始となる場合もあります。
先に聞いておきたいことがあれば、収録開始前のミキサー室へ挨拶に行ったタイミングで聞いておくのがベストです。
トークバックで
ディレクターが直接ブースに入らずとも、ミキサー室からトークバックで行われる場合もあります。
トークバックでの簡単な挨拶だけですぐに収録が始まる場合もあります。
じゃあ始めま~す
収録は分割して行われる
よほど短い作品でもない限り、台本をシーンごとに何分割かして、収録が進められます。
収録開始前に分割するシーンを一気に全て伝えられる場合もあれば、テスト(リハーサル)/本番が終わるごとに「次は〇ページまでやります」と徐々に伝えられる場合もあります。
分割シーンの時間は、それぞれ10分~20分くらいに収まることが多いです。
テスト(リハーサル)
収録は、いきなり本番が始まるのではなく、まず『テスト(リハーサル)』と呼ばれる確認作業を兼ねた収録を行うのが一般的です。
テスト(リハーサル)におけるそれぞれの立場の主な役割
立場 | 役割 |
---|---|
制作 | 全体の流れ・台詞等の最終確認 |
ディレクター | 役者の演技の方向性/台詞の確認 |
ミキサー | 役者のマイクワーク・音量レベルの確認 |
声優 | 用意してきた演技の実演・マイクワークの確認 |
テスト(リハーサル)は、主にスタッフ側のためのもの
テスト(リハーサル)は、主にスタッフ側のために行うものと考えておきましょう。
声優側は、 各自が作ってきた演技の方向性をディレクターに確認してもらうため、テスト収録でも本番で行う予定の演技と同じ熱量/方向性の演技をする必要があります。
役者が作ってきた演技の方向性が制作側の意図するものと一致しているかどうかを、制作サイド(主にディレクター)がこのテストで見極めることが大切だからです。
テストと言っても、決して気を抜いてはいけません
また、テスト(リハーサル)では、誰かが台詞を噛んだりとちったりしても、 ほぼ100%と言っていいほどシーンの途中で収録が止まることはありません。
スタッフ・キャスト全員で、全体の流れをまずは確認するのです。
テスト時の音声も録音されており、まれに、本番ではなくテスト時のテイクが使われる場合もあります。
『本番で上手くいかなかった演技が、実はテストでは上手くいっていた』ということが往々にしてあるからです。
チェック
テスト収録後、制作サイドによるチェックが行われます。
- 台詞の整合性
- 声優の演技の方向性
- マイクワークや別録りの箇所
チェックの時間は、変更点の量にもよるので一概には言えませんが、短くて2~3分、長くて20分くらいです。
チェックの時間はその時々で違うため、お手洗いなどに行く場合は、早めに行っておいた方が無難です。
お手洗いに行っている間に既に指示が始まっていて、スタジオに入りづらくなる、なんてこともあります。
チェックが終わるまでの間、声優は何してる?
この時間は、声優側としては特段『何かをやらなければいけない』という時間ではありません。
ただ、本番までにやっておきたいことがある場合は、この時間を有効に使うことができます。
共演者とマイクワークでぶつかったり台詞がかぶったりした際、待ち時間中に謝りに行ったり、マイクワークの相談をしに行ったりします。
他にも、声優たちは以下のような動きをしています。
- 台詞の練習・マイクワークの確認
- 収録開始前に挨拶できなかった共演者への挨拶
- 共演者とマイクワークや演技についての相談
- お手洗いに行く
- 共演者と雑談をする
- 本番に向けての準備(『飲み物を飲む』『リップクリームを塗る』『お腹が鳴らないよう何かを口にする』など)
収録開始前にやっていることとほぼ変わりません
ディレクション
制作サイドによるチェックが終わり次第、ディレクション(ディレクターからの指示)が入ります。
直接ディレクターがスタジオに入って指示を行う場合もあれば、トークバックで行う場合もあります。
- 別録りとなる台詞
- 台詞の変更
- 演技の方向性についてのディレクション
- 台詞のアクセント・読み方の間違い等の指摘
- マイクワークの指定
別録りの指示は、基本的にとっっってもテンポが速いです。
慣れてなかったり、ボーッとしていたりすると、つい聞き逃してしまいます。
メモをしそびれると本番に響いてしまうので、集中して聞くようにしましょう。
聞きそびれてしまった場合は、遠慮なく聞き返そう。
もしくは、近くに座っている共演者にでもコソッと聞いておこう。
全ての指示が伝えられた後は、練習する間もなく本番が始まります。
そのため、声優には瞬時にディレクションに対応するスキルが求められるのです。
本番
ディレクションが終わったところで、いよいよ本番の収録に入ります。
本番で収録する範囲は、テストで行ったシーンと同様の箇所です。
本番でも、テストで行ったものと同じ『演技』や『マイクワーク』をします。
テストでやったことは本番でもやる、テストでやらなかったことは本番でもやらない、が原則
演技やマイクワークは、基本的に、テストでやったものと同じものを本番でもやります。
テスト時とは違う演技やマイクワークをすると、スタッフさんにだけでなく共演者にも迷惑になり、全体の芝居が崩れてしまうことがあるからです。
特にマイクワークは、誰かがテスト時と異なるマイクに入ってしまったばかりに、その後に続く全員のマイクワークがガラッと変わってしまう、なんてこともあります。
全員が新たなマイクワークで再度脳みそをフル回転させなくてはならず、思うような演技できなくなってしまう、といった事態は避けなくてはいけません。
また、声優のマイクワークが変わることによりミキサーさんの調整(フェーダーの動かし方)も変わり、テストを行った意味がなくなってしまうため、ミキサーさんへの印象は最悪です。
アドリブについても同様で、テストでやった場合は同じように本番でもやります。
テストでやらなかったアドリブを、急に本番でやるのはNGです。
やりたいアドリブがあるなら、 テストのときにちゃんと示しておこう!
一度録音が始まると、途中で止まることはほぼない
テスト時もそうですが、一度録音が始まると、基本的には指定のシーンが終わるまで収録は止まりません。
誰かが台詞を噛んだりとちったりしてもそのまま流れていくことがほとんどですが、あとに影響するくらい盛大なミスが起きた場合は、一度ストップして巻き戻し、キリの良いところから再開する、という場合もあります。
リテイク
分割したシーン全体を録り終えてから、 噛んだり演技が上手くいかなかったりした箇所をピックアップし、『リテイク』を行います。
その際、より良い掛け合いにするため、同じシーンに出ている共演者も一緒に収録する場合があります。
相手役がいた方が、息の合った良い演技になるからね
リテイクは、別録りの収録と並行して行う場合もあります。
別録り
本線とリテイクの収録が終わったら、予め指定された別録りの台詞を収録していきます。
別録りはページをまたがって指定されることが多く、マイクの入れ替わりにもたついてしまうと、全体の収録時間に響いてきます。
そのため、声優は『次は自分の番だ』と分かったら、マイク前にすぐ立てる場所でスタンバイしておき、 収録がスムーズに進むようにしています。
(休憩)
収録が始まって1~2時間くらい経つと、途中で休憩時間を挟む場合があります。(5~10分程度)
また、長尺(映画)の場合は、一日かけて収録することが多いので、収録の中間あたりで1時間程度のお昼休憩を挟むことが多いです。
ただ、収録時間が予定より押している場合は、お昼休憩が短くなることも。
短時間で全体の収録が終わる作品の場合は、一切途中休憩がなく終わりまで進むこともあります。
充分な休憩時間が設けられない場合も考慮して、パンなどの軽くつまめる食事を用意しておこう。
休憩時間の始まりと終わり
休憩の始まり
休憩の始まりは、基本的にディレクターさんからトークバックで合図があります。
ちょっと休憩しまーす
休憩の終わり
休憩の終わりは、大抵ふわっとしています。(笑)
ブースの外に出ている声優は、収録が始まりそうな空気を感じると、いそいそとブース内へと戻ります。
みんな揃った~?そろそろやろっか。
この時、ブース内にいない声優がいたら、共演者が気を遣って声をかけてくれたり、ディレクターさんへ伝えてくれたりします。
あ、〇〇さんがまだいません!
休憩中だからと気を抜いていると、『誰も自分がいないことに気付かず、戻ろうとしたら既に収録が始まっていてブースに入れない』という最悪の事態も…。
テスト〜本番の繰り返し
分割したシーン毎に、テストから本番までの流れを繰り返していきます。
分割するシーン
アニメの場合
Aパート・Bパート・Cパートの3つに分けて収録することがほとんどです。
Aパート:オープニングからCMまでの範囲
Bパート:CM後からエンディングまでの範囲
Cパート:エンディング後の予告シーン
吹替えの場合
10~20分程度ごとに、キリが良いシーンで分割されます。
台本に元から、各ロールの開始場所を示すために『R-1』『R-2』…と記載されていたり、 ロールの分割部分で色の付いた紙が挟まっていたりすることもあります。
その場合、ロールごとに区切って収録することが多いです。
ガヤ録り
本線/リテイク/別録りがすべて終わったら、最後に全員でガヤ録りをします。
大勢の人が集まっているシーンなどでは、出演者全員で一斉にガヤ録りをします。
シーンによっては、男性/女性のみ、数人だけ、出演してるキャストだけ、などの場合もあります。
ガヤと言えど、立派な作品の一部
ガヤと言っても、その場にいる人物としてちゃんと『台詞』を喋らなければいけません。
ガヤ台詞は台本に書いてありませんが、自分なりにあらかじめ台詞を考えておく必要があります。
そのシーンに合ったキャラクターと台詞である必要があるからです。
また、その場で、隣にいる人同士でアドリブの会話をすることもあります。
私はガヤが苦手で、少人数ガヤは特に緊張します…。
収録終了
台本全シーンの『本線/リテイク/別録り/ガヤ録り』が終わったら、無事に収録は終了です。
収録が終わったら、声優たちは荷物をまとめてすばやくブースを出ます。
スタジオを出るときは、共演者さんに対して「お疲れさまでした。ありがとうございました。」と挨拶して退出するのが礼儀です。
また、ブース内への忘れ物がないかを確認しましょう。
ミキサー室へ挨拶をしに行く
ブースを出たあとは、まずミキサー室へ向かい、スタッフさん方へ挨拶をしに行きます。
ありがとうございました。お疲れさまでした!
お疲れ様~
マネージャーへ終了の報告をする
事務所に所属している人は、マネージャーへ収録が無事に終了したことを知らせる連絡をします。
今はメールやLINEなどで行うことが多いです。
お疲れ様です。〇〇スタジオでの『△△(作品名)』の収録が終わりました。本日もありがとうございました!
了解です。お疲れさまでした!
収録が終わったことにホッとして、つい事務所への報告を忘れてしまうと、事務所側は無事に収録が終わったのかを把握できず、『何か思わぬ事態が起こっているのか?』等の心配をさせてしまいます。
事務所への終了報告は忘れずに行いましょう。
夜までの収録の場合、その後に飲み会へいくことが多い
作品にもよりますが、夜に収録が終わる現場の場合、そのままスタッフ・出演者で飲みに行くことが多々あります。
私の体感だと、ほぼ100%の確率でした。(笑)
逆に、昼間や午後に収録が終わる場合、そのあとに他の現場が入っている人も多いことから、あまり飲みにいくことはありません。
新人は率先して動く
飲み会だけに限りませんが、飲み会のような誰も役割が決まっていないものに関しては特に、新人は率先して動くようにしましょう。
飲み会での新人の動き方についてはこちら
(ページ準備中です。今しばらくお待ちくださいませ。)
コロナ禍での変化
ここまで、アフレコ収録の流れについて説明してきましたが、コロナ禍になり、収録形態がガラッと変わっています。
ほぼ全出演声優が抜き録り状態で収録が進行し、全員が揃って収録することはほぼなく、もちろん飲み会などもありません。
コロナ禍での収録には、良い部分もあれば悪い部分もある
一人での収録もあれば、スタジオの広さに応じて、2~4人程度で収録することが多いようです。
マイクも一人一本使えるようなかなり贅沢な状態で、以前のようにマイクワークに頭を悩ますこともなくなりました。
マイクワークの不安がなくなり、大勢の共演者に囲まれるというプレッシャーも少なくなったことにより『自分の演技に集中できる』というメリットがある一方で、『相手役とリアルタイムでの掛け合いができない』『先輩方の演技を肌で感じることができない』『共演者やスタッフと雑談をする機会がない』といったデメリットが多いのも事実です。
どちらにも良し悪しがありますが、『芝居をすることが仕事』という特性上、息の合った演技をするためにも、やはり相手役がいてリアルタイムで掛け合いができる状態での収録が望ましいですね。
飲み会ばかりだと気を揉むことも多いですが、その分、普段できないような話ができる有難い機会でもありました。
よくある質問
まとめ
以上、声優目線でのアフレコ収録の流れについて説明しました。
かなりリアルな視点で書かれた記事になっているかと思います。
アフレコ収録がどのように行われ、声優らがどんな動きをして収録に臨み、作品を作り上げていくかを知っていただき、より理解を深めていただけたら嬉しいです。
また、声優を目指している方への参考になれば幸いです。
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