こんにちは、むんまるです
本記事では、YouTube漫画動画の宅録声優・ナレーターは稼げるのか、自分の実体験をもとに『宅録案件の実態』についてお話します。
私が主に宅録案件を受注しているプラットフォームは、クラウドワークス やランサーズ、ココナラ といったクラウドソーシングサイトです。
これらのサービスを使って宅録を受注してきた経験をもとに書いています。
この記事が、宅録をやってみようと考えている方の参考になれば幸いです。
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クラウドソーシングの宅録案件は稼げるのか
結論から申しますと、クラウドソーシングサイトで募集されている宅録案件で稼ぐことは可能です。
ですが、一度プロの声優として活動してきた私にとっては、これらのクラウドソーシングサイトで募集されてる案件は単価が低すぎて、ぶっちゃけ『やってられない』と思う単価のものがほとんどです。
募集されている宅録案件の報酬
YOUTUBEの漫画動画などのナレーター募集はよく見かけますが、比較的良いものでも10~15分くらいの動画1本あたり1000円程度の報酬。
良くて1500円や2000円のものもありますが、中には200円や100円、はたまた10円なんてものもあります。
しかも、ここからさらにクラウドソーシングサイトから20%程度の手数料が引かれます。
単価10円とか…ふざけてますか?????(怒)
声優に憧れるアマチュアや主婦が参入している
クラウドソーシングには声優に憧れるアマチュアや主婦も参入しており、誰でも案件に応募することは可能です。
そのため、プロ目線でみるとかなりひどいレベルと思われる人でも(すみません)、報酬が安いことを条件に採用されてしまうことがザラにあります。
10円などのめちゃくちゃな報酬でも応募する人がいるため、それがまかり通ってしまっているのが現状です。
声優業に憧れている人にとっては、たとえ10円でも『お金をもらって声優みたいな仕事ができるなんて素晴らしい!』というところなのでしょうか。
まじやめて…
クライアントにとっては、作品によってはクオリティは最低限でも、できるだけ安く仕上がればいいという人も多いのでしょう。
実際の収録には動画の数倍もの時間がかかる
プロ出身の人であれば、一つの作品作りにどれだけの時間と手間がかかるかは承知のことと思います。
ですが、クラウドソーシングサイトで激安報酬で声優を募集している人には微塵もその考えがないらしく、「動画の出来上がり時間=収録(+編集)が終えられる時間」と考えている人が多くいるように感じます。
んなわけあるかいっ!!!!
と、怒鳴りつけたくなるくらいですが、実際の作業時間は、この業界に携わっていない人にはなかなか伝わりにくいものなのかもしれません。
納品までの実際の流れ
ここで、クラウドソーシングサイトで実際に受注してから納品するまでの流れを簡単にご説明します。
たとえば15分程度のYoutube漫画動画のナレーションを受注して実際にやる作業は、以下のような流れになります。
依頼された作品の本数や納期を確認し、受注できそうなら契約を進めていきます。
原稿や漫画素材を受け取ったら、まず内容を読み、どんなことを伝えたい作品なのかを理解すします。
作品の長さにもよりますが、かなり早読みして5~10分程度。
作中に何人のキャラクターが出現するかを把握し、それぞれの声のイメージを作ります。
ほとんどの場合、どんなキャラクターでも老若男女問わず、自分一人で声をアテます。
多いと10キャラくらい出てきます。演じ分けが大変…。
アクセントや読み方など、わからないものがあれば調べます。
かかる時間や量は作品によりけり、また自分の知識量にもよります。専門的な用語、自分の知らないジャンルの内容が多いと、結構時間がかかります。
もちろん一発OKで録音できれば最高ですが、なかなかそうはいかないのと(噛んだらその分増える)、多数出てくるキャラクターの台詞が会話形式で入り混じるため、間を空けたり声を変えたりで、15分程度の作品でも平均して30分程度はかかります。
また、機材や環境音の関係で、中断を余儀なくされることもあります。
全ての台詞を録り終わったあとで聞き直したとき、マイクが不調で常にノイズが乗っていることが分かり、全部録り直しになったことも…。(涙)
録音したものを聞きながら、読み間違えた台詞を消して録り直したり、台詞と台詞の間を詰めていく編集をする。
基本的に音声編集は自分でやります。もちろん収録した時間以上の時間がかかります。
最終チェックで、原稿を見ながら通して聴く。
15分の作品なら15分強で終わりますが、もしここで間違いが見つかった場合、録り直し&編集をしなければならず、さらに時間がかかります。
チェックの完了した音声ファイルを、クライアント指定のファイル形式で保存します。
完成した音声ファイルを、指定された方法で納品する。
クライアントさんによっては、「音声ファイルだけではなく、元の漫画と合わせて納品してほしい」とか、「指示する媒体(チャットワークやグーグルドライブといったアプリケーションソフト内)にアップロードしてほしい」といった要望がありますので、それに合わせて納品しなければなりません。
以上が、宅録の収録時の流れです。
大体5~10分程度の作品を収録するのにかかる時間は、約2時間ほど。
これは収録や編集に慣れた人がスムーズに進められた場合の時間で、内容が複雑な作品や読みづらい言葉が多い作品の場合は、2倍以上の時間がかかることもあります。
激安報酬にも関わらず、様々なことを要求してくるクライアントたち
クライアントによっては、激安単価にも関わらず、無茶なことを要求してくる人もいます。
無茶な要求例
- 音声ファイルをシーンごと・台詞ごとに分けてほしい
- 過去の動画(すでにアップロードされているもの)を参考にして、喋る速さや台詞の間を編集してほしい
- かなり速いテンポで、かつ滑舌良くお願いします
- 即日納品してください(しかも依頼してきたのが夜だったりする)
- 無料で修正対応してほしい(クライアント側の責任で元の台詞自体が間違っていたとしても…。)
初めから要望がゼロ、というクライアントは少ないです。
ですが、あまりにも無茶な要求をしてくるクライアントが多く、辟易してしまうのも本音です。
ちなみに、ファイルを分ける作業なんかは、ファイルの量にもよりますが2倍以上の時間がかかりますし、間を詰める作業や喋る速さの調節なんかは、クライアントさんによっても好みが違うので、それぞれに合わせるのはなかなか骨が折れる作業です。
「動画の完成版を想像して速く喋ってほしい」というクライアントのなかには、編集で機械的に早送りしている動画をイメージしているらしく、それを収録の段階でやってほしいと思っている場合が多いです。いや、ムリムリ。笑
私は、最初の頃こそ10分程度の動画に2~3時間くらいかけて作業していましたが、『こんなのいちいちやってられん!』と思い、宅録を始めて早々に有料編集ソフトを導入しました。
また、徐々に作業自体にも慣れていったこともあり、最近では平均1時間くらいで終えられるようになりました。
ただ、それでもなかなかアルバイトの最低時給以上にはなりません。世知辛いですね。。。
経験がある人の場合、安売りしすぎると確実に疲弊します
このような、安価な報酬にも関わらず、様々な要求をつきつけてくるクライアントは数多くいます。
また、要望が少なかったとしても報酬が安価であれば、時間と労力に見合わない対価のまま続けることになってしまいます。
現在は、環境さえ整えればだれでも気軽に宅録ができる世の中になってきており、声優養成所に通ったことや演技経験のない素人や主婦が、Youtubeの漫画動画の声優・ナレーターとして数多く参入してきています。
あまりにも喋りが下手な場合は応募時点で受からないかもしれませんが、ある程度聞き取りやすい喋り方や、キャラクター芝居ができれば、合格できちゃうんです。
そのため、1本10円のような激安案件でもやってみたい人(応募者)が数人は必ずいて、クライアントとしてはウハウハ状態です。
でも、声優時代、どんなに台詞が少なくとも1本あたり通常1万円、最低でも5千円のギャラをもらっていた身としては、正直かなり厳しいです。
『せめてアルバイトの時給程度で作業が完了できるのであれば、時間があったらやってもいいかな』という程度です。
なので、もしこのブログを読んでいる方で、プロとして声優をしたことがあり、宅録にも挑戦してみたいと思っている方は、あまり自分を安売りしないように気を付けてほしいと思います。
最初のうちは、とにかく経験を積むために安い案件に手を出すことも仕方ないかもしれませんが、それを続けていれば必ず疲弊します。
実際に、私が疲弊しました。笑
声優事務所に所属していたころは、クライアントさんとのやりとりは全部事務所に任せ、自分は役作りに集中することができていました。
でもフリーで宅録声優をやろうとすると、すべてのクライアントさんとのやりとりは、自分でしなければなりません。(当たり前ですが)
しかも、クラウドソーシングサイトで募集をしているクライアントさんの中には、「学生が片手間でやってるのかな?」と思えるほど、社会常識を持ち合わせていない方もいます。
もちろん、ちゃんとした社会常識をお持ちで、丁寧な対応をして下さる方もいるので、一概には言えません。
ただ、ある程度慣れてきて時給程度で稼げるようになっても、常識のないクライアントさんとのやりとりがあるとかなり面倒でして、、、
たくさん仕事を持っているクライアントさんだったとしても、『もうこの人とはやりとりしたくないな…』と思い、こちらから契約をお断りすることもありました。
なので、プロで声優をしていた方はきっと素晴らしい演技力と技術がおありだと思うので、くれぐれも自分を安売りして疲弊してしまわないように、気を付けてください。
割に合っていない宅録を続ける理由
割に合っていないといいつつも、私がクラウドソーシングサイトで宅録案件を受注する理由。
やはりそれは、なんといっても案件が多いということです。
インターネット社会の現在、日本全国どこにいても同じように案件が探せますし、全国のクライアントさんと契約できるシステムは、クラウドソーシングならではです。
また、フリーでやっていると、営業するために様々な会社へ足を運ぼうにも自分の身一つしかないため、数をこなすのがどうしても難しくなってしまいます。
クライアントさんとしても、声優を探すためにわざわざ東京や都市の中心部へ赴く必要もなく、地方にいながらにして発注ができるサービスを活用しない手はありませんよね。
また、もし自分のことを全く知らない会社へ突然営業メールなどを送ったとしても、ほぼ相手にされないであろうことは目に見えています。(100%とは言いませんが)
そのため、フリーで宅録をやるには、まずは募集案件の多いクラウドソーシングサイトに登録することが、宅録声優になる第一歩としておすすめなんです!
中には高単価案件もある!!
クラウドソーシングは報酬が低いというお話ばかりしてきましたが、まれに高単価な案件もあります。
企業のCMやVPなどの案件は、Youtube漫画に比べるとはるかに高額報酬で募集しているのを見かけます。
こういった案件は、ちゃんとした声優事務所やナレーター事務所に話がいくものだと思われがちですが、意外とクラウドソーシングサイトにも転がっています。
ただ、高額なだけあって多くの人がやりたがるので、応募がすぐに殺到します。
案件を見つけるのや応募するのが遅れるほど、クライアントさんにじっくりプロフィールを見てもらったりボイスサンプルを聴いてもらえる可能性も低くなりますので、いち早く見つけていち早く応募した方が契約に繋がりやすくなります。
もちろん、ライバルも多いので、応募の速さだけではなく実力勝負や運まかせなところもありますが。
ものによっては、【3~5分程度で5万円の報酬】といった、かなり羽振りの良い案件もあります。
ライバルは多いし、高額報酬案件は契約を取るのも難しいし、「やっぱり、そう簡単には稼げないのかな…」と、クラウドソーシングをあまり悲観的に思う必要はありません。
ただ、こういった案件に当たるかどうかは、声優業界と同じく【運】によるところも大きいので、合否に一喜一憂せず、気軽に様々な案件に応募してみてもらえたらと思います。
フリーで宅録声優をやるなら、クラウドソーシングサイトへの登録は必須
なにかと大変だったり、面倒なことが多いクラウドソーシングでのお仕事ですが、宅録声優としての第一歩を踏み出すには、大変有り難い場所でもあります。
最初はわからないことだらけで時間もかかることと思いますが、慣れてきたらだんだん楽しくなってきて、振込明細を見るのがわくわくしてきますよ。
クラウドソーシングサイトに登録するか迷っている方は、ぜひ、勇気を出して最初の一歩を踏み出してみてください。
挫けず続けていけば、きっと、あなたの憧れるお仕事にも巡り合えることと思います。
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